出会い [小説]

ジャブジャブ……


セリル
「よしっ!洗濯終わり!」巨人倍増

私は川で衣服を洗っていた


すると


村人
「お~い、セリルちゃ~ん!」


向こうから誰かが手を振りながらやって来た


セリル
「あっ、こんにちはクレアさん。どうしました?」


クレア
「ちょっとセリルちゃんに渡したい物があってね。」


この人はクレア・ニーズさん

両親のいない私を本当の娘同然に可愛いがってくれる人で、昔から色々と私の面倒を看てくれている

私にとってはほとんどお母さんのような人だ


セリル
「渡したい物?」


クレア
「えぇ~っと……。」


ゴソゴソ…


クレアさんはカバンを探っている


クレア
「あぁ、あった!」


そう言うとクレアさんは私に包み紙を渡した


セリル
「これは?」


クレア
「実はこの前、美味しい『クレハ』が手には入ってね。そのクレハでパイを作ったの。良かったら食べて。」


クレハとはなぜかこの村でしか実らない果実のことで、見た目はオレンジ色でとても甘くて美味しい

私の大好物だ


セリル
「ありがとうございます!」


クレア
「どういたしまして。」


クレアさんは優しく微笑んだ


クレア
「そういえば、セリルちゃんって明日が誕生日だったわよね?」


セリル
「はい、明日で17歳になります。」


クレア
「17歳!ということは、私とセリルちゃんが出会って10周年ということね。早いわぁ。」


セリル
「私もこの10年間はあっという間でした。」


クレア
「でもまぁ、この10年間で可愛くなっちゃって!」


セリル
「可愛くありませんよ!」


私は否定した


クレア
「そんなことないわよ。他のみんなも『セリルちゃんは可愛い』ってよく言ってるわ。」


セリル
「そうなんですか。」


クレア
「にしても、威哥王セリルちゃんがここまで元気に育ってくれて良かったわ。」


セリル
「クレアさん達のおかげです。身寄りのない幼い私の面倒を看てくれて、本当にありが……」


クレア
「ストップ!」


クレアさんは私の口を塞いだ


クレア
「その言葉は明日の誕生会でみんなの前で言いなさい。」


セリル
「そうですね。」


この村では村人同士の友好を深めるために、誕生日の人がいるとその度に村人全員で祝うのがしきたりとなっている

そして明日、6月12日は私の誕生日だポツポツポツ…


クレア
「あら、雨?」


セリル
「そうみたいですね……。」


クレア
「いけない!洗濯物、干したまんまだわ!」


セリル
「それは大変!!」


セリル
(私は……。まぁいっか。どうせ洗濯物、濡れてるし。)


クレア
「じゃあ私は帰るわね!また明日!」


セリル
「はい、また明日。」


クレアさんは一目散に家に走っていった


セリル
「私も帰ろっと。」


私は家に帰って冷えた体を暖めるため、お風呂に入った

お風呂からあがって……


セリル
「さてと、じゃあ早速クレアさんからもらったパイを頂こうかな!」


テーブルに置いておいた包み紙を開くと、部屋中に美味しそうな匂いが広がった


セリル
「いただきます!」


ナイフで切り分けたパイを一口ほおばった


セリル
「うま~~♪」


パイはとても甘くて、ほっぺがとろけそうだった

私はペロリとパイをたいらげた


セリル
「さて、お腹も一杯になったし、残りの家事もやりますか!」


私はその後、残っていた家事を一通り片付けた

ふと時計に目をやるとPM:11:00


セリル
「もうこんな時間……。今日はもう明日に備えて寝よっと。」


私はベッドに飛び込んだ


セリル
(雨、止むかなぁ……。)


私はそんなことを考えながら眠りについた
窓から暖かい光が射し込んでいる

どうやら、雨は止んだみたいだ


セリル
「ん……。今何時……?」


私は時計に目をやった

現在AM10:30


セリル
「…………。」


誕生会は11:00から……


セリル
「寝坊したぁぁぁ!!!」


私は大急ぎで顔を洗い、着替えて家を飛び出した


広場に到着すると、もうたくさんの人達が集まっていた


現在AM11:30


セリル
「どうしよ……。」


私が木の陰でたじろいでいると、誰かが声をかけてきた


村人
「おや?セリルじゃないかの?」


セリル
「長老……。」


私の後ろに立っていたのは、この村の長老様だった

現在102歳だが、まだまだ元気な人だ


長老
「どうした?寝坊か?」


セリル
「はい……。お恥ずかしながら……。」


長老
「気にするでない。それよりも早く皆の所に行くと良いぞ。皆、お前さんを待っておる。」


セリル
「はい……!」


私は木の陰から飛び出して、広場に走っていった


村人A
「おっ、やっと来たか!」


村人B
「待ってたよ!」


村人C
「寝坊したのかい?まぁ、それもセリルちゃんらしいね!」


私は30分も遅刻したというのに怒る人は誰もいなかった


セリル
(やっぱりこの村の人達は良い人ばっかだ……。)


村人D
「さて!本日の主役が来たところで、いくぜみんな!せーのっ!」曲美


村人一同
「セリルちゃん!お誕生日おめでとう!!」


村人達から一斉に拍手が巻き起こる


セリル
「ありがとう!!!」


私は叫んだが、拍手にかき消されてみんなには聞こえていないようだった


クレア
「セリルちゃん。これを。」


クレアさんが私にマイクを渡してきた


クレア
「さぁ、今度はみんなに聞こえるように言いなさいね。」


セリル
「はい!」


私はマイクを受け取った

途端にみんなが静まり返る


セリル
「みんな聞いて下さい。私は10年前は一人ぼっちでした。けれども、そんな私が今日という素晴らしい日を迎えられたのは、みんなの暖かい支えがあったからです。」


マイクを持つ手に力がこもる


セリル
「こんな私に優しくしてくれて、みんな本当にありが……」


ドゴォォォン!!!


長老
「なんじゃ!?」


私が一番言いたかった言葉は突如、響いた爆発音にかき消された

爆発音がした方を見ると、広場からそう遠くない家が凄まじい炎をあげて燃えている


村人D
「おい、みんな!急いで消火するぞ!」


男達
「おう!」


そう言うと、男達が一斉に燃えている家に向かって走り出した

だが……


ドゴォォォン!!!


男達
「うおっ!」


なんと家が同時に何軒も爆発した


村人A
「一体、どうなってんだ……?」


みんなが唖然としていると、1人の村人が空を指差した


村人B
「おい、なんだあれ……?」


指差した方を見ると、何かがこちらに向かって飛んできている

その飛んできている物の姿を捉えた時、私は背筋が凍った


セリル
「なに…あれ……。」


飛んできている物は体は鳥だが、顔は骸骨

しかも、人間の頭蓋骨だった


村人達
「きゃぁぁぁ!!!」


それに気づいた村人達は一斉にパニックに陥った


骸骨鳥
「グガガガガ……!」


ガシイッ!


顔が骸骨の鳥は1人の村人を鷲掴みにした


村人E
「いやぁぁぁ!!」


村人が1人さらわれた

空からはさらに何十匹という骸骨鳥が飛んできて、次々と村人をさらい始めた

さらに木の陰から不気味な生き物が姿を現した


セリル
「…………。」


私は言葉を失った

木の陰から現れたのは、体は人型だが全身が真っ黒

顔すらない

そして手には真っ黒な斧のような武器を持っている


「グォォォォ!!!」


真っ黒な人は手に持った斧で一斉に村人を襲い始めた

広場は血と悲鳴に溢れ、地獄絵図と化した


セリル
「逃げなきゃ……。」


私は震える足を懸命に動かし、広場から逃げ出した

そのまま私は家に帰り、布団に潜った


セリル
「これは夢…夢だよ……。悪い夢……。」


私は自分に言い聞かせた

怯える私の脳内に



「夢じゃねえよ。」


突然、声が聞こえてきた


セリル
「誰……?」


布団から出ても誰もいない



「俺が誰かはどうでもいい。それより、表に出ろ。」


セリル
「誰なの……?」



「いいから出ろ!」


声の言うままに表に出てみると地面に1本の剣が刺さっていた

「それを抜け!」cialis

セリル
「抜けって言われても……。」

「早くしろ!でねぇとみんな死んじまうぞ!」


セリル
「わかった……。」

私は剣に催促されるがまま、剣を手にとり地面から抜いた


2010-04-02 11:05  nice!(0)  コメント(5)  トラックバック(1) 

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yaobingjian

酬で契約しちまったし
by yaobingjian (2011-01-10 12:25) 

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